2012年12月22日土曜日

マイナンバー法案勝手実態解説:第56条(住民基本台帳法から規定を移してでき たマイナンバーカード)

マイナンバー法案第56条は、市町村長に個人番号カードを交付しなければならない義務を定める。しかしながら、これは市町村長の新たな事務を定めるものではない。行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(以下「整備法案」という。)により、住民基本台帳法におけるマイナンバー法案とほぼ同内容の住民基本台帳カードに係る第30条の44の規定が削除される。すなわち、個人番号カードはその規定を住民基本台帳からマイナンバー法に移し、名称を住民基本台帳カードから個人番号カードに変更したものといえる。
個人番号カードと住民基本台帳カードの主な違いは、下表に示されるように、住民基本台帳カードには住民票コードがそのカード内部のICに記録されるのに対して、番号カードの場合には表面(裏面を含む。以下同じ。)に個人番号が記載されることである。個人を一意に識別することができる番号又は符号の記録又は記載箇所をカード内部のICから表面に変更したものが番号カードといえる。その他、委任先が政令か省令かの変更等が行われているが、本質的な規定の違いはない。ほぼ、個人番号カードは住民基本台帳カードの名称変更といえる。
立法過程において(番号大綱において)、「ICカードの交付方法については、 その交付対象者が当該対象者であることを確認し、かつ、交付対象者に確実に交付されるよう法令で規定し、成りすまし防止を徹底する必要があると考えられる。」とされていたが、そのための特段の規定はマイナンバー法案にはおかれていない。また、第2条において、「本人確認の簡易な手段を得られるようにするために必要な事項を定める」とされているが、そのための特段の規定はマイナンバー法にはおかれていない。





個人番号カードに係る市町村長の義務は、マイナンバー法案に規定されている上記のみではない。整備法案により公的個人認証法(電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律)の改正が行われる。その内容は、下表のとおりである。電子証明書の公開鍵(利用者署名検証符号)と秘密鍵(利用者署名符号)を生成するためのシステムを提供するだけでなく、公開鍵と秘密鍵を作成し、個人番号カードに電子証明書と共に記録することが市町村長の事務となる。また、従来1種類であった電子証明書が、署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書の2種類に増える。
その他、通知先が都道府県から機構に変更されているが、現在の公的個人認証法でも都道府県の事務は機構に組織変更される指定認定機関に委託されていることから、主に立法技術上の変更であり、実質的な変更はない。
(本ブログは全体としてみれば立法技術上のパロディが多いので、この変更についてもそのうち時間があれば書いてみたいと思います)




(本投稿は個人的な見解です)

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