2012年12月15日土曜日

マイナンバー法案勝手逐条解説:第2条第7項


第二条 7 この法律において「特定個人情報」とは、個人番号(個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のものを含む。第四条、第五条、第五十六条第一項及び第六十二条並びに附則第三条第一項、第二項及び第四項を除き、以下同じ。)をその内容に含む個人情報をいう。

第2条第7項は、本法の対象となる「特定個人情報」の意義を定めるものである。具体的には、個人番号以外の、個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のもの及び個人番号を含む個人情報を特定個人情報と定める趣旨である。

特定個人情報の外延について
本定義を個人情報の定義である行政機関個人除法保護法第2条第2項『この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報になるものを含む。)をいう。 (他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることと 含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの』と比較すると、個人情報の定義の場合には他の情報と照合することによって個人を識別することができる場合が含まれているのに対して、特定個人情報の場合には他の情報と照合することによって個人番号(個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のものを含む。以下同じ。)を把握できる場合が含まれていない。したがって、照合によって当該個人情報の個人番号が把握可能であっても、当該個人情報に個人番号が含まれてさえいなければ特定個人情報とはならない。
このため、個人情報以上に特定個人情報の場合は行政庁及び独立行政法人等はその外延を明確化する必要が生じる。個人情報の場合は、照合によって個人を識別できれば個人情報であるため、外延を明確化しなくても、個人情報にあたるか否かの判断が可能である。一方で、特定個人情報の場合にはその中に個人番号が含まれるか否かによって特定個人情報か否かが定まるため、外延を明確化しなければ特定個人情報か否かが定まらない。行政及び独立行政法人等の義務は特定個人情報か否かによって大きく変わるため、この判断を行うことは必須と考えられる。
一方で、個人情報の外延を定めることは極めて難しい。例えば、総務省行政管理局による行政機関個人情報保護法の逐条解説では、以下のように説明されている。

(参考2)個人情報の外延について
「個人情報」は、通例は特定の個人を識別可能とする情報と当該個人の属性情報からなる「一まとまり」の情報の集合物である(このため、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と規定している。)。この「一まとまり」の範囲は、情報の内容、事務の性質等から総合的に判断されるべきものである。開示、訂正、利用停止等の場面において、どこまでが開示請求者に関する保有個人情報となるのかは、形式的には決め難い。とりわけ行政文書に散在的に記録されている個人情報の場合実務上問題となる。本法では、開示請求を行う者は、開示請求に係る保有個人情報を特定するに足りる事項を開示請求書に記載することとしており(第十三条第一項第二号)、また、行政機関は、補正の参考となる情報を提供するよう努めることとしている(同条第三項)。このような請求手続の過程において、対象となる保有個人情報の範囲が特定されることが、円滑な運用を図る上で不可欠である。


この説明では、請求手続きの過程において対象となる個人情報の範囲が特定されることが円滑な運用を図るうえで不可欠とされている。前述したように、個人情報かいなかは外延が定まらなくとも可能なため、個人情報の場合には開示請求等が行われた後に個人情報の「一まとまり」の範囲を特定すればたりる。一方、特定個人情報の場合には、それを保有した段階から「一まとまり」の範囲を特定しなければ運用を行なえない。したがって、各行政庁及び独立行政法人等はその内規、事務規定等において個人情報の「一まとまり」の範囲を特定することが必要になると考えられる。

個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号について
本法には明文規定が置かれていないものの、個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号として想定されているのは、第2条第13項により定義され、第19条第1項に基づき総務大臣が管理する情報提供ネットワークシステムが個人番号に代わって用いる符号である。第17条第7号に基づき情報提供を求める場合には、当該符号を用いて本人を特定することが予定されている。また、第19条第2項に基づく特定個人情報の提供の求めがあった旨の通知は符号を用いて行われる予定である。そのため、第20条に基づき特定個人情報の提供を行えるようにするには保有する個人情報に符号を加え特定個人情報としておく必要がある。
一方、各行政庁の内部のみや各事務の種類毎に行政庁を横断して用いている番号、記号その他の符号については、照合することによって個人番号に代わって用いることが可能であっても、実際に用いておらず、また用いる意図が無ければ、個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号ではないため、当該番号、記号、その他の符号が含まれていても特定個人情報となることはない。並列に用いる場合には、代わって用いるわけではないので、個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号にはあたらないと解される(情報提供ネットワークで用いる符号は個人番号を直接利用しないために用いるものであるため、個人番号に代わって用いられる符号と解される)。
ここで留意が必要となるのは、他の事務で同じ従来から行政庁の内部で個人に関する情報を管理するために用いていた番号、記号、その他の符号を情報提供ネットワークシステムが用いる符号に代わって用いる意図をもちまた実際に利用する場合でありえることである。この場合に当該個人情報を特定個人情報として扱う必要があるかどうかを行政庁及び独立行政法人等は自ら判断する必要がある。
一方で、情報提供ネットワークシステムが用いる符号と同様に住民票コードから生成された符号や個人番号から生成された符号であっても他の組織に個人情報の提供を求めるために使う意図がなく、また、可逆的な生成方法を用いたり符号変換テーブルが整備されていたりしない場合で、組織内で特定の利用目的にのみ用いる場合には、生成方法が個人番号に関わっているのみで、個人番号に代わって用いられるわけではないのので、第2条の個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号と解されるものではない。


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(本投稿はパロディです)

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