2013年1月4日金曜日

マイナンバー法勝手逐条解説:第3条第4号

第三条 個人番号及び法人番号の利用は、この法律の定めるところにより、次に掲げる事項を旨として行うものとする。

四 個人番号を用いて収集され、又は整理された個人情報が法令に定められた範囲を超えて利用され、又は漏えいすることがないよう、その管理の適正を確保すること。


本条は、個人番号及び法人番号を利用する際の心構えについて規定するものである。本条の最大の特徴は主語が明示されていないことである。これは、基本理念を示す条項において一般的な特性である。行政庁及び独立行政法人等は、本条の対象か否かを自ら判断することが求められる。また、簡易な手続きを設けるためには新たな法律や既存の法律の改正が必要な場合もあり、行政機関における法制に関する事務の実施に際してや立法府に対するメッセージでもある。ただし、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者に対する義務を規定していると解してはならず、立法趣旨を示したものと理解すべき条項である。


第3条第4号は、個人番号扱う行政庁、独立行政法人及び民間事業者は、個人番号を用いて整理された個人情報が法令に定められた範囲を超えて利用されたり漏えいしたりしないよう管理を適正に行う必要がある旨を記したものである。

本条を解釈するにあたり第一に留意が必要なのは、個人番号を用いて個人情報を収集することはそもそも第18条により禁止されていることである。したがって、個人番号を用いて収集された情報を行政庁等が保有することはない。「個人番号を用いて収集された個人情報」との記載は、「個人番号(個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のものを含む。)を用いて提供を求めることによって提供を受けた個人情報又は個人番号と共に提供を受けた個人情報」を省略して記載したものと解される。いわんや、個人番号を用いて国民を指定し情報を提出させること(国民を番号で管理するような活動)を行政庁は行ってはならない。

第二に留意が必要なのは、「利用目的の達成に必要な範囲を超えて利用され」ではなく、「法令に定められた範囲を超えて利用され」となっていることである。このように、特定個人情報については、取得時の利用目的と無関係に、法令に定めのない範囲で利用されないよう管理の適正を確保する必要がある。

漏えいすることがないよう管理の適正を確保することが必要なことについては、言をまたない。


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