2013年3月20日水曜日

番号法案第16条(本人確認の措置)の階層表示と真正性確認の義務について


第180回国会提出マイナンバー法案

(本人確認の措置)
第十二条 個人番号利用事務等実施者は、前条第一項の規定により本人から個人番号の提供を受けるときは、当該提供をする者から第五十六条第一項に規定する個人番号カードの提示を受けることその他その者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置をとらなければならない。


第183回国会提出番号法案
(本人確認の措置)
第十六条 個人番号利用事務等実施者は、第十四条第一項の規定により本人から個人番号の提供を受けるときは、当該提供をする者から個人番号カード若しくは通知カード及び当該通知カードに記載された事項がその者に係るものであることを証するものとして主務省令で定める書類の提示を受けること又はこれらに代わるべきその者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置をとらなければならない。

これらを階層的に表現すると、以下のようになる。

第183回国会提出番号法案第16条の階層的表示(第1の理解)

  • 個人番号利用事務等実施者は、
  • 第十四条第一項の規定により本人から個人番号の提供を受けるときは、
    • [当該提供をする者から
      • {個人番号カード若しくは通知カード}及び
      • {当該通知カードに記載された事項がその者に係るものであることを証するものとして主務省令で定める書類}
    • の提示を受けること]又は
    • [これらに代わるべきその者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置]
  • をとらなければならない。
第183回国会提出番号法案第16条の階層的表示(第2の理解)

  • 個人番号利用事務等実施者は、
  • 第十四条第一項の規定により本人から個人番号の提供を受けるときは、
    • [当該提供をする者から
      • {個人番号カード}若しくは
      • {通知カード及び当該通知カードに記載された事項がその者に係るものであることを証するものとして主務省令で定める書類}
    • の提示を受けること]又は
    • [これらに代わるべきその者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置]
  • をとらなければならない。

第180回国会提出マイナンバー法案第12条の階層的表示
  • 個人番号利用事務等実施者は、
  • 前条第一項の規定により本人から個人番号の提供を受けるときは、
  • [当該提供をする者から第五十六条第一項に規定する個人番号カードの提示を受けること](又は)or(及び)
  • [その他その者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置]
  • をとらなければならない。
第180回国会提出マイナンバー法案では、「その他」の前に「及び」及び「又は」は記載しない慣例であることから、不明確なところがあったが、第183回国会提出番号法案では「又は」となっており、後半は「本人であることを確認するための措置」であり、個人番号の真正性を確認するための措置の記載はないことから、番号の真正性の確認が必須ではないことがより明確になったといえよう。
一方で、第180回国会提出マイナンバー法案では番号カードの提示を受ければ十分であることが明確であったが、第183回国会提出番号法案では、上記第1の理解と第2の理解が可能であり、若干不明瞭になったのではないかと懸念される。第180国会提出マイナンバー法案の記載及び「本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項を定める」という法の目的を鑑みれば、第2の理解に基づき解釈するのが正しいと思われる。
※上記のようにいったん思ったが、「当該通知カードに記載された事項がその者に係るものであることを証するものとして」の記載があることから、第1の理解はありえないと思われる。

2013年3月17日日曜日

新しいマイナンバー法案の変更点

遅ればせながら、新しいマイナンバー法案をパラパラ見たので、変更点を抜き出してみた。
抜けはあると思うし、保護委員会まわりはあんまり関心ないので、そもそも見ていない。


(定義)
第2条
7 この法律において「個人番号カード」とは、氏名、住所、生年月日、性別、個人番号その他政令で定める事項が記載され、本人の写真が表示され、かつ、これらの事項その他総務省令で定める事項(以下「カード記録事項」という。)が電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。第十八条において同じ。)により記録されたカードであって、この法律又はこの法律に基づく命令で定めるところによりカード記録事項を閲覧し、又は改変する権限を有する者以外の者による閲覧又は改変を防止するために必要なものとして総務省令で定める措置が講じられたものをいう。


(基本理念)
第3条
第1項
(旧)当該事務の対象となる者を特定する簡易な手続を設けることによって、行政運営の効率化及び国民の利便性の向上に資する
(新)当該事務の対象となる者を特定する簡易な手続を設けることによって、行政運営の効率化を図り、もって国民の利便性の向上に資する

第2項
(旧)その他これに準ずる仕組みを利用して
(新)その他これに準ずる情報システムを利用して


第3条
2 個人番号及び法人番号の利用に関する施策の推進は、個人情報の保護に十分配慮しつつ、行政運営の効率化を通じた国民の利便性の向上に資することを旨として、社会保障制度、税制及び災害対策に関する分野における利用の促進を図るとともに、他の行政分野及び行政分野以外の国民の利便性の向上に資する分野における利用の可能性を考慮して行われなければならない。
3 個人番号の利用に関する施策の推進は、個人番号カードが第一項第一号に掲げる事項を実現するために必要であることに鑑み、行政事務の処理における本人確認の簡易な手段としての個人番号カードの利用の促進を図るとともに、カード記録事項が不正な手段により収集されることがないよう配慮しつつ、行政事務以外の事務の処理において個人番号カードの活用が図られるように行われなければならない。
4 個人番号の利用に関する施策の推進は、情報提供ネットワークシステムが第一項第二号及び第三号に掲げる事項を実現するために必要であることに鑑み、個人情報の保護に十分配慮しつつ、社会保障制度、税制、災害対策その他の行政分野において、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が迅速に特定個人情報の授受を行うための手段としての情報提供ネットワークシステムの利用の促進を図るとともに、これらの者が行う特定個人情報以外の情報の授受に情報提供ネットワークシステムの用途を拡大する可能性を考慮して行われなければならない。


(国の責務)
第四条 国は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、個人番号その他の特定個人情報の取扱いの適正を確保するために必要な措置を講ずるとともに、個人番号及び法人番号の利用を促進するための施策を実施するものとする。
2 国は、教育活動、広報活動その他の活動を通じて、個人番号及び法人番号の利用に関する国民の理解を深めるよう努めるものとする。


(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、個人番号その他の特定個人情報の取扱いの適正を確保するために必要な措置を講ずるとともに、個人番号及び法人番号の利用に関し、国との連携を図りながら、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を実施するものとする。


(事業者の努力)
第六条 個人番号及び法人番号を利用する事業者は、基本理念にのっとり、国及び地方公共団体が個人番号及び法人番号の利用に関し実施する施策に協力するよう努めるものとする。


(指定及び通知)
第4条
第1項
(旧)当該個人番号を書面により通知しなければならない。
(新)当該個人番号を通知カード(氏名、住所、生年月日、性別、個人番号その他総務省令で定める事項が記載されたカードをいう。以下同じ。)により通知しなければならない。

第2項
(旧)書面により通知しなければならない。
(新)通知カードにより通知しなければならない。

第3項以降追加
3 市町村長は、前二項の規定による通知をするときは、当該通知を受ける者が個人番号カードの交付を円滑に受けることができるよう、当該交付の手続に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
4 通知カードの交付を受けている者は、住民基本台帳法第二十二条第一項の規定による届出をする場合には、当該届出と同時に、当該通知カードを市町村長に提出しなければならない。この場合において、市町村長は、総務省令で定めるところにより、当該通知カードに係る記載事項の変更その他の総務省令で定める措置を講じなければならない。
5 前項の場合を除くほか、通知カードの交付を受けている者は、当該通知カードに係る記載事項に変更があったときは、その変更があった日から十四日以内に、その旨をその者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の長(以下「住所地市町村長」という。)に届け出るとともに、当該通知カードを提出しなければならない。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
6 通知カードの交付を受けている者は、当該通知カードを紛失したときは、直ちに、その旨を住所地市町村長に届け出なければならない。
7 通知カードの交付を受けている者は、第十七条第一項の規定による個人番号カードの交付を受けようとする場合その他政令で定める場合には、政令で定めるところにより、当該通知カードを住所地市町村長に返納しなければならない。
8 前各項に定めるもののほか、通知カードの様式その他通知カードに関し必要な事項は、総務省令で定める。


(本人確認の措置)
第16条
(旧)個人番号カードの提示を受けることその他その者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置
(新)個人番号カード若しくは通知カード及び当該通知カードに記載された事項がその者に係るものであることを証するものとして主務省令で定める書類の提示を受けること又はこれらに代わるべきその者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置


(個人番号カードの利用)
第十八条 個人番号カードは、第十六条の規定による本人確認の措置において利用するほか、次の各号に掲げる者が、条例(第二号の場合にあっては、政令)で定めるところにより、個人番号カードのカード記録事項が記録された部分と区分された部分に、当該各号に定める事務を処理するために必要な事項を電磁的方法により記録して利用することができる。この場合において、これらの者は、カード記録事項の漏えい、滅失又は毀損の防止その他のカード記録事項の安全管理を図るため必要なものとして総務大臣が定める基準に従って個人番号カードを取り扱わなければならない。
一市町村の機関地域住民の利便性の向上に資するものとして条例で定める事務
二特定の個人を識別して行う事務を処理する行政機関、地方公共団体、民間事業者その他の者であって政令で定めるもの 当該事務


(特定個人情報の提供の制限)
第19条
十 社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二条第五項に規定する振替機関等(以下この号において単に「振替機関等」という。)が同条第一項に規定する社債等(以下この号において単に「社債等」という。)の発行者(これに準ずる者として政令で定めるものを含む。)又は他の振替機関等に対し、これらの者の使用に係る電子計算機を相互に電気通信回線で接続した電子情報処理組織であって、社債等の振替を行うための口座が記録されるものを利用して、同法又は同法に基づく命令の規定により、社債等の振替を行うための口座の開設を受ける者が第九条第三項に規定する書面(所得税法第二百二十五条第一項(第一号、第二号、第八号又は第十号から第十二号までに係る部分に限る。)の規定により税務署長に提出されるものに限る。)に記載されるべき個人番号として当該口座を開設する振替機関等に告知した個人番号を含む特定個人情報を提供する場合において、当該特定個人情報の安全を確保するために必要な措置として政令で定める措置を講じているとき。


(秘密の管理)
第24条
(旧)必要な措置
(新)情報提供ネットワークシステム並びに情報照会者及び情報提供者が情報提供等事務に使用する電子計算機の安全性及び信頼性を確保することその他の必要な措置


(検討等)
附則第6条
(旧)政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況等を勘案し、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の措置を講ずるものとする。
(新)政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況等を勘案し、個人番号の利用及び情報提供ネットワークシステムを使用した特定個人情報の提供の範囲を拡大すること並びに特定個人情報以外の情報の提供に情報提供ネットワークシステムを活用することができるようにすることその他この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、国民の理解を得つつ、所要の措置を講ずるものとする。

第2項以降追加
2 政府は、この法律の施行後一年を目途として、この法律の施行の状況、個人情報の保護に関する国際的動向等を勘案し、特定個人情報以外の個人情報の取扱いに関する監視又は監督に関する事務を委員会の所掌事務とすることについて検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
3 政府は、委員会の行う特定個人情報(前項の規定により講ずる措置その他の措置により委員会が特定個人情報以外の個人情報の取扱いに関する監視又は監督に関する事務をつかさどることとされた場合にあっては、委員会の所掌事務に係る個人情報)の取扱いに関する監視又は監督について、これを実効的に行うために必要な人的体制の整備、財源の確保その他の措置の状況を勘案し、適時にその改善について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
4 政府は、第十四条第一項の規定により本人から個人番号の提供を受ける者が、当該提供をする者が本人であることを確認するための措置として選択することができる措置の内容を拡充するため、適時に必要な技術的事項について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
5 政府は、この法律の施行後一年を目途として、情報提供等記録開示システム(総務大臣の使用に係る電子計算機と第二十三条第三項に規定する記録に記録された特定個人情報について総務大臣に対して第三十条第二項の規定により読み替えられた行政機関個人情報保護法第十二条の規定による開示の請求を行う者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織であって、その者が当該開示の請求を行い、及び総務大臣がその者に対して行政機関個人情報保護法第十八条の規定による通知を行うために設置し、及び運用されるものをいう。以下この項及び次項において同じ。)を設置するとともに、年齢、身体的な条件その他の情報提供等記録開示システムの利用を制約する要因にも配慮した上で、その活用を図るために必要な措置を講ずるものとする。
6 政府は、情報提供等記録開示システムの設置後、適時に、国民の利便性の向上を図る観点から、民間における活用を視野に入れて、情報提供等記録開示システムを利用して次に掲げる手続又は行為を行うこと及び当該手続又は行為を行うために現に情報提供等記録開示システムに電気通信回線で接続した電子計算機を使用する者が当該手続又は行為を行うべき者であることを確認するための措置を当該手続又は行為に応じて簡易なものとすることについて検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
一法律又は条例の規定による個人情報の開示に関する手続(前項に規定するものを除く。)
二個人番号利用事務実施者が、本人に対し、個人番号利用事務に関して本人が希望し、又は本人の利益になると認められる情報を提供すること。
三同一の事項が記載された複数の書面を一又は複数の個人番号利用事務実施者に提出すべき場合において、一の書面への記載事項が他の書面に複写され、かつ、これらの書面があらかじめ選択された一又は複数の個人番号利用事務実施者に対し一の手続により提出されること。
7 政府は、適時に、地方公共団体における行政運営の効率化を通じた住民の利便性の向上に資する観点から、地域の実情を勘案して必要があると認める場合には、地方公共団体に対し、複数の地方公共団体の情報システムの共同化又は集約の推進について必要な情報の提供、助言その他の協力を行うものとする。